只見川電源開発と文学 | ||||
只見川電源開発は国策による世紀の大事業でした。日本国中のありとあらゆるマスコミが注目し、開発にまつわる話題は新聞、雑誌などいろいろな形で報道され、只見川はたちまち全国に知れ渡りました。 田子倉をはじめ只見川電源地域を舞台とする文学作品もいくつか発表され、只見川は文学の面からも大きな脚光を浴びました。 |
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小山いと子「ダムサイト」 先祖代々のゼンマイ採りなど桃源郷の山村は、平和で明るく健康的な暮らしだった。突然のダム建設で湖底に沈む土地、家屋の莫大な補償金をめぐり、村人たちが金のために平和な暮らしが堕落し、心が蝕まれていく。 ますみと茂治の純朴な若い男女の愛情が今まで手にしたことのない大金のために、次第にかわってゆく。 (昭和29年光書房) |
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曽野綾子「無名碑」 ダムは何千という人間が造り出した無名碑…。 一介のダム技術者三雲は九頭竜の工事現場から帰る車中知り合った容子と結婚、只見での新婚生活が始まる。 田子倉ダム建設を背景に物語を展開。 田子倉ダム、只見川をめぐる水論争、工事現場只見の表情、P隊、将来のダムの生命など社会現象をこと細かに取り入れている。 (昭和44年講談社) |
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城山三郎「黄金峡」 山深い一山村が、ダム建設によって多額の補償金をつかみ、突如「黄金峡」になった。 にわか長者になった村人の欲と色にくずれゆくさまを描き、人の世の美しさ、醜さ、人の性の弱さ、悲しさを鋭く衝いた。 村人の多くは補償金をつかんで、村を離れる。最後まで頑強に反対したものもついに強制収容に屈服。「経済という非常な世界と、そこに生きる生身の人間を描いた」(作者)。田子倉が舞台になっている。 (昭和34年中央公論社) |
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山口弥一郎「小説ただみ川」 田子倉生まれの皆川真佐子という女性が主人公で、女性の生きざまを描いた小説。 旧習固執の農村生活、電源開発による水没という犠牲を強いられたなかで、嫁、小姑、姑の葛藤を浴びて初婚に破れ、そして再婚。夫の坦々とした生き方に今まで締め付けられてきた生活に燭光を見いだす。 田子倉の自然の美しさ、電源開発についてもふれている。 (昭和43年博文社) |
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